皇學館大学柔道部OB 髙橋 章人
新たなる一歩、柔道部での出会いと絆
柔道部の新たな一歩
ー柔道部に入ったきっかけ
柔道を始めたのは11歳の時で、高校時代は皇學館高等学校で柔道に打ち込んでいました。将来は柔道を続けつつ、教員免許を取得して教師になることが夢だったので、皇學館大学に進学し、柔道部に入部しました。 高校時代に合同練習に参加した時から、自由な雰囲気の柔道部だと感じていました。実際に入部してみても、稽古の強度も高すぎず、和気藹々と活動する部活動で楽しいものでした。入部して2,3か月でこれは何も言われないだろうと思って、髪を金髪に染めたほどです。
ー佐藤武尊監督との出会い
最初の1年は、入部してからほとんど幽霊部員のような存在で、特に部活動に力も入れずに過ごしていました。 1年が経とうとしていた頃、新しい監督が関東から赴任するということを聞きました。そんなある日の稽古後、シャワーを浴び、金髪をドライヤーで乾かしてトランプをしていたところに新監督の佐藤監督が現れました。本当に良くないタイミングでの初顔合わせで、とても焦ったのを今でも覚えています。4月から正式に佐藤監督の指導を受けることになって一番初めに受けた指導は、「君はまず髪を黒く染めることから始めようか」でした(笑)
柔道は元々好きなのですが、佐藤監督が来ると同時に稽古内容が激変しました。これまでの稽古の5倍から10倍のハードさに、正直、驚きました。監督は現役を引退したばかりで、熱い気持ちで指導に臨んでくれましたが、その情熱に私は対応できず、柔道を諦めようと思いました。部員も次々と辞めていく中、ついに私も監督に辞めたい旨を泣きながら伝えたのですが、監督は「お前は皇學館大学柔道部に絶対に必要な人材だ」と引き止めてくれました。その言葉に励まされ、続ける決意をしました。
また、その後のミーティングでも監督が話をしてくれたことがありました。それは、「これまでは佐藤武尊という選手としての気持ちのまま君たちの指導をしてきたが、指導者としての足りない部分がまだまだあった。これから、もう一回、みんなと一緒に頑張っていきたい」ということでした。これまで監督との距離を感じていましたが、そのミーティングを境に、監督が心を開いてくれて距離が縮まったように感じました。恐れていた存在が、寄り添ってくれる何よりも頼もしい存在に変わった瞬間でした。
今を全力で生きる勇気
ー新たな気持ちで得られたもの
新たな気持ちで部活動に取り組み、4年生となってキャプテンを務める中で、周囲への振る舞い方やコミュニケーション能力が向上したと思います。また、キャプテンとしての責務を果たし、1部と2部を行き来していた柔道部が1部に定着できるほどになり、全国大会に出場する機会も得ることができました。これは佐藤監督の指導のおかげであり、その経験を得られたことに誇りを感じています。教員として現在働いていますが、柔道部で培ったコミュニケーションや人間関係のスキルは、社会人として活動する上で非常に役立っています。様々な年代の方との接し方や社会的な視点を身につけることができたことに、改めて感謝しています。
ーコーチとして指導するうえで意識していること
現在はコーチとして携わっているのですが、まず最優先で行っていることは、監督をサポートすることです。学生たちの技術面の指導・向上も当然ですが、監督が指導を円滑に行うための環境整備に注力しています。また、選手たちが相談できる雰囲気を整えることで、監督との意見・交流もスムーズになるように心がけています。常に監督の補佐の意識をもって、稽古や学生との関わりに努めています。
若者へメッセージ
学生時代は、学業が本分であることは当然ですが、たくさんの時間を使ってやりたいことに全力を注げる貴重な時期でもあります。将来後悔のないよう、今を精一杯生きてほしいと思います。社会人になると立場や地位からか、さまざまな制約を感じるようになり、思い切った考えや行動ができなくなることがあります。だからこそ、学生である今が自由な挑戦や自己実現の絶好のチャンスであると伝えたいです。