感謝を忘れず、チャレンジし続けたい 佐賀大学 Tさん

感謝を忘れず、チャレンジし続けたい

今チャレンジしていることについて教えてください。

 現在、学生と企業の繋がりにコミットした法人運営を行っております。また「地方国立大学野球部選手兼監督が法人設立に至ったわけ」という内容で他大学で講演をしたり、他大学の野球部のアドバイザーに就任するなど他組織の支援にも取り組んでおります。2024年の春には株式会社の設立も予定しています。

法人運営を始めた理由を教えてください。

 既に卒部しましたが、4年間佐賀大学の野球部に所属していました。実は、佐賀大学の野球部は2018年に創部したばかりの新しい部活です。
 「佐賀大学に野球部が無かったことで、学生が他県の大学に行ってしまうのはもったいない」という理由で、私の高校の先輩が創部したのです。強豪の野球部で頑張りたいという思いもあったため、関東の大学への進学も考えたのですが、部活の立ち上げに関わることはなかなか出来ない経験だと感じ、佐賀大学への進学を決めました。
 入部した当時は出来たばかりの部活だったので、20人ほどしか部員がいませんでした。部活のランディング費用に部全体で約500万円かかるので、自分たちのバットやグローブの購入費用とは別で、20万円/人かかる状態でした。年間20万円の部活への支払いは、大学生にはなかなか難しいことです。

経済的な理由で野球を辞める学生を間近で見てどうにかしたいと思い、法人運営を始めました。

運営の内容を教えてください。

 最初は、佐賀大学の野球部の運営費調達のため、スポンサードしてくれる企業を探しました。2000社リストアップし、ひたすら電話を掛けました。まったく電話代のことを考えてなかったので、その月の電話代は5,6万円になりびっくりしました…

 最初の頃は電話をしても、受付の方にいつもブロックされていました。少しでもお話を聞いてもらいたいという思いでしたが、繋いで貰えず、とても悔しかったのを覚えています。電話をしているうちに、「協賛」「スポンサー」「寄附」というワードはブロックされるのではないかと気付きました。すぐに「何かお手伝いできることはないか」と電話の話し方を変えると、徐々にアポイントを頂けるようになりました。
 実際の商談時は、電話の時から権限のある方に会いたいと言っていたので、社長や部長がわざわざ話を聞いてくれました。失敗も多くありましたが、一緒に何かできないかと思ってくれる企業も多く、だんだん運営費が集まってきました。現在は約40社から支援を受け、学生が支払わなければいけない費用も約半分になっています。

この先どのようになっていきたいですか

 現在は法人運営の幅を広げて、他大学で講演したりなど、他県の資金調達に困っている大学や、学生とのつながりが欲しい企業をサポートしています。
 それを事業化したいと思い、2024年に株式会社を設立する予定です。事業などは様々な構想がありますが、核心の部分は「学生と企業の繋がりにコミットしたい」に変わりはありません。 2024年の春からは法科大学院に進みます。理由としては法人運営をするなかで、法律の壁にあたることが多かったためです。本来なら、弁護士を雇うなどして、その壁は乗り越えるものですが、私は自分が学ぶことを選びました。経営者自身が法律の専門家であるケースは少ないですが、組織のリーダーが法律に詳しいと役に立つことも多いと思うので、大学院に進学します。大学院は3年間なので、その3年間で司法試験の勉強と、会社の運営を両立する予定です。
 そして会社は3年の決算をみて10年後に上場またはM&Aが見込めなさそうであれば、閉じることを考えています。現在6人のスタッフがおり、経営者は彼らの人生も背負っていく責任があります。中途半端な状態の会社に、皆の人生を賭けてもらうべきではないと考えているため、腹をくくって3年で成長させる予定です。なかなか忙しい3年間になりそうですが、どちらも全力で取り組みます。

10年後の自分に一言

様々なことにチャレンジし続ける人であってください。

成功、失敗はたくさんあると思いますがそんな時こそ、謙虚に周りの人への感謝を忘れず、発想を変えて挑戦することを忘れないでください。