パッチワークキルト設立の経緯

　食品会社（食品産業）というのは、誰しもが食べなければ生きていけないという事で不況にも強い安定産業だと思われています。一方で、社会はここ数年で大きく変化してきており、また、日本の人口も減少期に入ってきています。今までの既存の事業の勝ちパターンは徐々に通用しなくなり、新たな事業を生み出すことが必要になります。しかしながら、なかなか既存の組織の中から新しい事業を生み出すのは簡単ではありません。グループ内から出てきた事業案やそのような活動を支援していくために、パッチワークキルト株式会社を設立しました。

Kidslationについて

　事業推進者である岸さんは、離乳食用商品の豊富さに対し、幼児食期(1歳半〜6歳)の商品が少ないことに着目し、「Kidslation」をスタートしました。お店で買えるレトルト離乳食は大体1歳半まで。それ以降の子どもに即席で与えられる商品がほとんどなく、調理する時間がない時には大人用の冷凍食品やお惣菜に頼っていました。ただ、大人用の味付けのものを与えるのは罪悪感もあり、そもそも少しでも口に合わないと食べてくれないため、安心して利用できる商品があればと思ったのがきっかけです。

　「Kidslation」を立ち上げる際、50以上の家庭で試作品を試してもらい、じっくり話を聞き、保育園勤務の管理栄養士の監修のもと、栄養バランスはもちろん、子どもが好む味、食べやすい具材の大きさや固さに配慮したメニューを開発しました。こだわりは、１つのメニューに野菜を5種類以上入れていることです。野菜が苦手な子どももおいしく食べられるように味付けなどを工夫して「野菜をしっかり食べさせたい」という保護者の強い要望に応えられる商品ができたと思います。メニューは現在12種類ですが、今後はもっと増やしていきたいと考えています。

　食事の支度や後片付けをしている時に、子どもに呼ばれても「ちょっと待ってね」と後回しにしがちですよね。そうこうしているうちに、すぐ寝る時間になってしまう。レンジ調理ですぐに出すことができれば、空いた時間で一緒に遊んだり本を読んだり、話をしたり、子どもと過ごす余裕が生まれます。「Kidslation」は、「kids」（子供）＋「relation」（つながり）の造語。お子さんとの時間を作ってほしいという願いが込められています。ぜひ、多くの子育て中の家庭に試してほしいですね。

タスミィについて

　事業推進者である石井さんは、妻の第二子妊娠時に120日間のワンオペ生活を経験しました。「仕事」・「育児」・「家事」と、あまりの忙しさに耐えられず、第一子が通う保育園のお迎え時に園長先生に「保育園の給食を売って欲しい」とお願いしましたが、できないことを知りました。そこで、「同じような悩みを抱えている忙しいお母さん・お父さんが、他にもいるのではないか？そんなお母さんお父さんの心の余裕を作り、親子が一緒に過ごす温かい時間を増やすことはできないか？」と考え、タスミィを起案しました。

　サービスの概要としては、保育園で働く管理栄養士が監修した「パウチ入り惣菜」を、保育園に設置した販売機で保護者が購入できるサービスです。商品は、１袋（約２４０ｇ）に大人１人前＋子ども１人前の分量が入っているので、手軽に家族一緒の夕食を食べることが出来ます。商品形態も電子レンジ対応パウチであるため電子レンジで１分強温めればすぐに夕食にできるため、お忙しいお客様の平日の時に重宝いただいています。

ハウス食品だからこその強み

　ハウス食品グループでは「はじめてクッキング教室」などの食育活動を通して、これまで保育園と接点を多々持ってきました。そんな活動を長年してきたハウス食品グループだからこそ、子育てサポートの一助になることができると思っています。また、会社の雰囲気は、熱い魂というよりかは、アットフォームな温かみのある環境なので、グループ全体で協力できる心強さと一人一人が主体的に働ける環境が、新たな挑戦に繋がっていると思っています。

今後の展望

　プロジェクトを通して、共働き子育て世帯や子育てに悩まれる方々に少しでも貢献できるよう、事業拡大に向けてより一層邁進していきたいと思っています。

　また、グループとして、日本における食品会社が数多くある中で、商品を通じてお客様に温かさや幸せを届けられる企業で在り続けたいと思っています。歴史ある会社だからこそ、時代を汲み取り、新しい事業にも挑戦し続けます。若い世代には、「おじいちゃんおばあちゃんみたいな会社」と思われることもありますが、今回の新事業を通じて、新たな可能性を届けていきたいです。そして、日本の食卓文化ではなくてはならないものになれたら嬉しいです。

パッチワークキルト株式会社
https://kidslation.jp/