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【「自然を中心とした視座」の探究】 生物学者 神崎亮平
【「自然を中心とした視座」の探究】
【人間中心の西洋思想の社会から自然と調和し共存する「和」の思想の社会へ】
科学技術は上がっていますが、人工知能や量子コンピュータなども人の役に立つ、
便利になるなど人が中心で考えられています。このような考え方のやり方では、環
境問題や格差の問題が起こってきます。これは過去をまた繰り返すことになるだけ
ですよね。
精神性や論理だけではなく、心の問題などももっと重視していくと西洋一点張りの
方法論ではなく、やはり東洋的なアプローチやらないと心の問題も解決できない。
人間中心ではなく、いろんな問題解決や課題解決もやっぱり自然と調和して社会課
題解決していくことが重要だと考えます。
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【自然を中心とした視座】
SDGsやウェルビーイングなど、複雑な課題に対して客観的に導かれる最適解 だけ
で対処することは不可能であり、人と自然と科学技術の在り方 を包括的な視座か
ら捉え直し、取り組んでいくことが必要となります。視座を自分から離してしまっ
て、そしてそれを自然の中で考えていくこと。
森羅万象を大切に考える東洋思想、とくに日本が培ってきた自然と共生する生き方
、すべてを包括的に捉える「和」の視点に基づく科学技術の発展が求められます。
今後は、子どもたちの育成がすごく重要になってきます。答えは一つじゃないんだ
というマインドを子ども達にちゃんと知ってもらい、そういう感性を育成しないと
いけないということはとても大事です。
理性だけじゃなく、感性もバランスよく入った中からいろんな答えを吟味しながら
、検討できる。
そんな子どもたちが育って欲しい。そのためにはやっぱり環境が重要です。単なる
科学技術ではなく東洋的な「和」の視点の視座から、未来につながる子どもたちの
環境作りも行っています。
【テクノロジーと人間の調和】
現代社会では、テクノロジーの進歩が目覚ましいが、その進歩が人間や自然とどの
ように調和していけるかが問題です。例えば、再生可能エネルギーの活用や環境に
優しい技術開発など、科学技術が自然保護に貢献する方法を模索することが重要で
す。また、テクノロジーは人間の生活を便利にするだけでなく、精神的な豊かさや
社会的な結びつきを強化する道具としても機能すべきです。
また、持続可能な社会を実現するためには、単に技術的な解決策に頼るだけでなく
、人々の生活スタイルそのものを見直す必要があります。例えば、過剰消費を避け
、地域の資源を大切に利用する、地球環境に配慮した食生活を送るなど、日常生活
の中で持続可能性を意識することが求められます。
このような生活スタイルの変化は、環境だけでなく、社会全体の健康や幸福にも寄
与します。
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【表面的な繋がりだけではなく心で繋がっていく世界】
西洋の考えでは個人主義的なところがあって、それをベースにした展開になってい
ますよね。心で繋がるよう経済社会という方向性が重要です。そのためには、自分
だけではなく皆仲間なんだっていう意識を持てるそんな社会構造がきれば素晴らし
い。本当に心で繋がっていけるような仲間と一緒にやっていける経済社会になって
いくと嬉しいです。
最後に、これらの価値観を次世代に伝えるためには、教育が重要な役割を果たしま
す。子どもたちに多様な価値観や持続可能な生活の重要性を教え、彼らが未来の問
題を多角的に考えられるような教育を行うことが必要です。
自然との共生、和の精神、テクノロジーとの調和を理解し、それを実践できる次世
代を育成することが、真に持続可能な社会への鍵となります。
神崎亮平
生物学者。理学博士。東京大学先端科学技術センター前所長。1987年アリゾナ大
学神経生物学研究所博士研究員。1991年筑波大学生物科学系助手、講師、助教授
。2003年同教授。2004年東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻
教 授。2006年同先端科学技術研究センター生命知能システム分野教授。2013年4
月より副所長。2016年4 月より所長。2003年よりアリゾナ大学Dep. of Neurosci.
Adjunct Professor。ミラノ-ビコッカ大学名誉 学位(2019)。2019年3月より東京理科
大学客員教授。2020年、和歌山県文化賞 受賞。2022年より高野山大学 客員教授。
現在は小中高生を対象とした実験科学教室を精力的にすすめている。
ホームページ:https://www.brain.rcast.u-tokyo.ac.jp/