いながき乳腺クリニック 院長 稲垣 麻美

人生って哀しくて愛しい

いながき乳腺クリニック
院長 稲垣 麻美

略歴
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横浜市立大学卒業。乳腺外科医として、湘南記念病院、聖路加国際病院、三井記念病院で勤務。2019年5月にいながき乳腺クリニック開業。乳腺専門医、超音波専門医を取得し、日常の診療と乳腺超音波の指導も行っている。
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現在の仕事についた経緯

 幼少期から好奇心の塊で、植物や生物にも興味がありました。高校生の頃は人間=脳と思うこともあって、研究をするならと生物の先生に勧められた医学部に入学しました。医者になった当初は小児科に興味がありましたが、頭の作りが外科系だと気づき、大きく方向転換。ご縁があり、中学、高校、大学の先輩でもあった先生の下で乳腺外科の仕事を始め、今に至ります。
興味の対象は人間、というところは大きく変わりませんが、専攻する内容としてはいろいろと変遷があったと思います。

仕事へのこだわり

 私の仕事、乳腺外科は、その名のとおり乳腺という大変限られた臓器を対象としています。ですが、実際には大変幅広い様々な局面があります。主に乳がんを対象とすることが多いのですが、まず、治療として外科の手術があり、重要な位置を占めます。その手術においても、乳房の手術方法には乳房を部分的に切除する部分切除、乳房を切除する全切除術、その全切除術の中にも乳頭乳輪を残す方法、皮膚をできるだけ残す方法などの選択肢があります。また、乳房の膨らみを作る再建にも人工乳房を使う方法、自分の脂肪組織や筋肉の一部を移動させる方法があり、これら選択肢や技術は大変奥深いものです。治療としてはその他にもホルモン療法や化学療法、分子標的治療薬など数多くの治療内容があります。

 また、治療のみならず、遺伝(遺伝性乳癌卵巣癌など遺伝による乳がんであれば治療の選択肢が追加されたり、血縁のあるご家族にも検査が及ぶこともあります。)、治療に際して仕事を継続するための就労支援、ご自身のみならず家族のサポート、治療によって変わってしまう外見に対してのアピアランスケアなど、さまざまさなことが関わってきます。
して、現在9人にひとりの女性が乳がんになる時代となり、乳がんの診断、検診も、とても重要なものと考えています。

 このような多くのことを抱えている乳腺の専門の町医者として、皆さまの不要な不安を減らして、必要な診断や治療につなげていかれるように、学会などにも参加し、情報を更新するようにしています。
最後に仕事だけではないですが、目の前にいる方とお互いにひとりの人間同士として向かい合うことは、とても自然なことと思っています。この仕事を通して、皆さんの人生に様々な形で関わったり立ち会ったりすることによって、色々な人生に接するというとても貴重な経験をさせていただいています。

若者へのメッセージ

 まだまだ経験不足もあり、未熟者と認識していますが、20代、30代は今思えばどうでもない不安や葛藤に飲み込まれて、訳もわからず、がむしゃらに、色々な壁にぶつかって、無様な姿を素直に晒していたと思います。その時、きっと苦笑いしながら温かく見守ってくださった方々には、顔から火が出るほど恥ずかしいのですが、今でも本当に感謝でいっぱいです。

 今、もがいている若い方の姿を見ると、がんばれ、その先にきっといい道がある!とこっそり応援しています。少し流されてみたり、抗ってみたり、色々としてみてください。でも、ご自分で大切にしているものは揺るがさない方がいいと思います。そうすることによって、ご自身なりの自信が少しずつ生じてくると思います。

いながき乳腺クリニック
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